第1章 イントロダクション:なぜインターネットメディアなのか
21世紀において、人々の情報接触の中心は「紙」や「テレビ」から「スマートフォン」へと完全に移行した。とりわけ中華圏においては、ソーシャルプラットフォームを介した“共感型コンテンツ”が、生活や消費の意思決定を左右する最も強力な影響源となっている。
こうした状況の中、清禾株式会社は、日本におけるリアルな生活・文化・教育・地域情報を、インターネットを通じて中華圏へ信頼性高く発信することを、コア事業の一つとして位置付けている。
私たちの考える「メディア運営」とは、単なるPV獲得や広告収益を目的としたものではない。むしろ、情報と体験のあいだにある“信頼の断絶”を埋め、生活者と現地社会をつなぐ新しいハブの役割を果たすことである。
⸻
第2章 清禾株式会社のメディア運営に対する考え方
清禾株式会社は、インターネットメディアを以下のように定義している:
“可視化された情報を通じて、人と国と文化をつなぐ信頼形成のプロセス”
この考え方のもと、私たちは以下の三原則を運営の根幹に置いている。
- 透明性(Transparency)
誇張や扇動的な編集を排し、現場に基づいたリアルな内容を発信する。
例:実際に暮らしてみた部屋のサイズ、写真と現実の差、周辺環境など
- 共感性(Empathy)
閲覧者の立場に立ち、「自分ごと」として感じられる情報設計を重視する。
例:留学体験者の悩み、言語の壁、文化ギャップの戸惑いなどを等身大で表現
- 接続性(Connectivity)
情報で終わらせず、現地体験や具体的な行動へと導く“橋渡し”を担う。
例:視聴者が実際に見に行ける物件、相談できる窓口、イベント申込などへつなげる設計
⸻
第3章 中華圏における情報需要と日本とのギャップ
私たちがメディアを運営するにあたり、最も強く意識しているのは、“中国語圏のユーザーが日本に対して持っているニーズ”と“実際に提供されている情報”の乖離である。
✅ 実際のギャップの例:
• SNS上の情報が断片的で信用できない
→ 「PRばかりで、実際の生活が見えない」「実際に行ったら違った」という声が多い。
• 中国語で日本の生活情報を探す手段が限られている
→ 検索エンジンの最適化やメディア展開が不十分。一次情報はほとんど日本語でしか存在しない。
• 「観光情報」ばかりで「生活・進学・不動産」の情報がない
→ インフルエンサーが紹介するのは東京の観光地かカフェが中心。それ以外の暮らしの解像度が低い。
このような背景の中、清禾のメディア事業は、「実際に生活する人が発信する日本」を軸とし、信頼性・再現性・共感性のある情報流通を作ることを目指している。
第4章 運営方針:透明性・共感性・実用性
清禾株式会社のメディア運営において、もっとも重視しているのは「信用されるコンテンツ設計」である。
現在のSNS空間では、視聴回数やバズを重視した短命的・断片的コンテンツが大量に流通している。一方で、ユーザーが求めているのは「生活や行動に結びつく、再現性のある具体的情報」であり、それをどこまで丁寧に発信できるかが信頼の分かれ道となる。
🔹 基本方針
• 事実性(Fact)に基づく発信
現地確認済みの内容のみ掲載、実体験・本人登場型コンテンツを基本とする。
• 等身大の視点(Personal, not staged)
高額すぎる物件や、設定上のみの演出は避け、実際の生活者の目線で発信。
• 長期的な編集視点
一時的な流行や刺激よりも、検索や保存され続ける“役立つ情報”を優先。
⸻
第5章 編集スタイルと企画設計の特徴
清禾の編集部では、1つのコンテンツを「制作物」ではなく「行動導線の起点」として設計している。
🧩 編集の基本構成
1. ユーザー像の仮説(誰に届けたいか)
例:日本留学を検討している20代前半の上海在住女性
→ 不安に思っている点、情報収集経路、言語レベル、家族の理解状況などを先に定義
2. コンテンツの導線設計
- 最初の1秒で惹きつけるフック
- ストーリー的流れと“共感ポイント”の配置
- 最後に何をしてほしいか(保存・シェア・リンククリック・資料請求など)
3. 再利用性の確保
動画・画像・記事・翻訳など複数のメディア形式に転換できる構造で設計
→ TikTok用動画 → 小紅書 → 記事 → 公式LINEトーク素材 などの流用
4. CTA(行動喚起)と信頼導線
「詳しくはこちら」「DMで相談受付中」「日本語でも対応可」など、視聴者との双方向性を明示
⸻
第6章 主要カテゴリ別メディア運営領域
清禾株式会社が取り組むメディア運営は、単一ジャンルではなく、多領域の情報を横断的に構成している。ここでは、現在特に注力している5つのカテゴリについて、それぞれの特性と制作方針を解説する。
⸻
📍1. ライフスタイル系(生活・買い物・空間)
• 主な内容:
部屋紹介/近所のスーパーやコンビニ/一人暮らしの節約術/収納術/便利グッズ/食事など
• ポイント:
「日本に暮らすとはどういうことか」を可視化
日常の中にある“安心感”と“現地ならでは”を共存させる内容が共感を呼ぶ
⸻
📍2. 教育・留学系(学生視点のリアル)
• 主な内容:
語学学校/私立高校/専門学校/大学/生活費/奨学金/日本語学習アプリ/先輩インタビュー
• ポイント:
「日本留学=憧れ」だけではなく、「本当に来てよかった」「やっていけるのか」を軸に
→ 同じ悩みを持つ視聴者に“自分もできるかも”と思わせる構成が重要
⸻
📍3. 美容・ファッション系(日系ミニマル感)
• 主な内容:
UNIQLO・GU・日系小众ブランド/ドラッグストアコスメ/街中の人の着こなし/着回しVlog
• ポイント:
中華圏のユーザーが「憧れる日系感」×「自分もできそうな現実感」のバランス
→ モデル系でなくても、構成とスタイリング次第で多くの共感が取れるジャンル
⸻
📍4. 不動産/地域探索系(居住と空間体験)
• 主な内容:
エリア比較/家賃相場/部屋の中のリアルな間取り・騒音・日当たりなど/街の雰囲気紹介
• ポイント:
視察前の情報収集としての“下見代わり”になる映像が非常に重宝される
→ 将来的な物件案内や仲介連携にもつながる潜在的導線
⸻
📍5. 観光・文化体験系(深みのある日本紹介)
• 主な内容:
人気観光地以外の“生活文化”/地元の店/地元の人/知られざる景勝地や寺社/季節の風物
• ポイント:
表面的な観光紹介でなく、「感覚としての違い」や「静かな驚き」を伝えるように構成
→ 教養性・感受性を兼ね備えた映像は、長期的ファンを生む
第7章 コンテンツ制作の裏側:撮影・編集・配信フロー
清禾株式会社では、SNS投稿一つひとつにも明確な工程設計とプロセス管理を行っており、コンテンツ制作は「個人の感覚」に頼らず、プロジェクト単位での工程化を徹底しています。
🔧 制作フローの基本構成:
1. テーマ設計(内容決定)
季節性、時事性、検索トレンド、相談ニーズなどを分析し、何を誰に向けて発信するかを決定。
2. 構成台本(構成案)作成
・動画ならカット構成/音声入り台詞/現場動線
・画像コンテンツなら構図・明るさ・視点の設計
・テキストは“視聴者の感情曲線”を意識した言葉運びで構成
3. 撮影・収録(現地ロケ/スタジオ)
必要に応じて照明・録音・ナレーション・字幕素材なども収録
4. 編集・翻訳(バイリンガル対応)
中国語字幕/ナレーション切替/一部多言語字幕にも対応
5. プラットフォーム最適化(フォーマット調整)
TikTok縦長構図/YouTube横動画/小紅書用画像/WeChat図文などに再配置
6. 投稿・コメントモニタリング/初期応答
投稿後48時間の反応チェック/質問内容の整理/誤解の即時修正など
7. 結果分析と再展開
エンゲージメント率、保存数、コメント分析などをもとに、次回企画・広告提案・連動記事などへ展開
⸻
第8章 SNS戦略とプラットフォーム展開
清禾株式会社のメディア運営は、単一プラットフォームではなく、複数SNSを並列かつ連動させて展開しています。
📱 主な使用プラットフォーム:
プラットフォーム 主な目的 投稿内容
TikTok(日中) 短編動画での拡散 ライフハック・現地あるある・体験紹介
小紅書(RED) 保存・共有型の“生活攻略”系 美容、不動産、旅行、買い物など
YouTube Shorts ブランド浸透&ファン形成 密着型Vlog、長編インタビュー短縮版
Instagram Reels 世界観重視 旅行・留学・コーディネート系
WeChat 公众号 長文+画像情報の集約・導線 学校案内、不動産連携、観光攻略記事
🧭 チャンネル運用ポリシー:
• 各プラットフォームのアルゴリズム・ユーザー心理に合わせた投稿タイミングと構成を分析
• 単発の「バズ」よりも、保存・回帰率・DM相談への導線を最重要指標として設定
• アカウントごとに人格設計(Tone & Manner)を明確化
⸻
第9章 インフルエンサーとの連携と倫理的スタンス
清禾株式会社では、個人クリエイターとの連携も積極的に行っています。ただし、単なる広告塔としてではなく、「一緒に価値を作るパートナー」としての関係性を重視します。
🤝 パートナーシップポリシー:
• 自社育成型: 無名からの企画・育成・運営伴走
• 個人支援型: 既存クリエイターの成長支援(制作・企画サポート)
• コラボ提案型: コンテンツ単位での一時的協業(視察同行・動画出演等)
⚖️ 倫理的ガイドライン(例):
• 誤解・偏見を助長しない表現
• 実体験に基づく内容のみ配信
• ステルスマーケティング(非開示PR)を禁止
• 「やらせ」演出の禁止(嘘・過度演出NG)
⸻
第10章 視聴者との距離感とインタラクション設計
清禾が最も重視しているのは「画面の向こうにいる“誰か”を想定する」こと。
そのため、単なる投稿で終わらず、コメント・DM・ライブ配信・LINEなどを通じた“対話の場づくり”に重点を置いています。
👥 主な視聴者層:
• 留学希望者(高校生〜大学生)とその家族
• 日本に興味を持つ社会人(20〜40代)
• 在日華人、または日本に不動産や就職意向のある海外華人
• 日本文化・旅行ファン(SNSネイティブ層)
💬 インタラクション設計:
• コメント返信・リアクションを24時間以内に行う
• よくある質問は“動画で再回答”し回遊率向上へ
• フォロワー限定ライブ配信で意見を吸い上げ、コンテンツ改善へ還元
• LINE公式アカウント・WeChat導線などで「話しかけられる場所」を整備
第11章 マネタイズと非商業性のバランス
清禾株式会社のインターネットメディア事業は、明確な収益構造を持ちつつも、単純な広告型メディアとは一線を画しています。
💡 マネタイズの基本方針
1. パートナー連携型(企業案件・動画タイアップ)
→ 教育機関、物件管理会社、地域観光団体、ECブランドなどと連携し、信頼性あるPR動画を共同制作
→ スポンサード明記、ステマ厳禁。PRでも「編集権は当社に保持」
2. ユーザーアクション誘導型
→ 記事・動画を見たユーザーが視察予約・LINE登録・学校相談等の行動を起こすことで発生する成果報酬型収益
→ 通常のCPA(Cost per Action)よりも“相談単価”を基準に設計
3. ナレッジ提供・ライセンス化
→ 他社への動画フォーマット提供/教育機関への広報代理制作/留学説明会登壇/SNS活用講義などの二次収益化
⸻
🧭 非商業性を保つための設計
• コンテンツ内に「売り」があるとしても、無理に誘導しない
• レビュー系は必ず長所・短所を併記
• 投稿前に「視聴者目線で冷静に見返す」チェックリスト運用
• 商業協力よりも、「信頼される情報の送り手であること」を最優先に
この設計により、視聴者との距離感が崩れず、ファンが離れない“健全な経済圏”が維持されています。
⸻
第12章 中長期の展望:ブランド構築とメディアの深化
清禾株式会社は、メディアを一時的な「集客装置」ではなく、「顧客接点資産(Media Equity)」と位置付けています。
🔭 中長期戦略:
1. コミュニティ型メディアへの進化
→ 視聴者がコメント欄だけでなく、「共に価値を作る参加者」として機能する設計へ
→ 例:テーマ型UGCイベント開催・視聴者からの質問をコンテンツ化・現地参加型撮影会など
2. ブランドの人格化(メディアトーンの統一)
→ 各SNSの人格設計を徹底し、ファンが“企業”ではなく“人”として信頼できる雰囲気を醸成
→ 例:「このアカウントの人が紹介してるから信じる」「DMで聞ける空気がある」感
3. ライフタイムバリュー(LTV)重視のKPI設計
→ 一度相談した人が1年後に再度相談/視察後に留学も申し込む/フォロワーが広告主になる…
→ フォロワー数や再生数よりも、「関係の深さ」を価値とする運営へ
⸻
第13章 制作体制と人材ポリシー
コンテンツの質は、「誰が」「どういう意図で」発信するかによって決まります。清禾株式会社では、少人数ながら専門性と多言語対応を備えたメンバー構成を維持しています。
👥 チーム構成(例)
• 編集ディレクター(中日バイリンガル)
→ テーマ設計・構成編集・トーン調整・倫理管理
• 動画制作/現地撮影担当
→ カメラ/音声/照明/街歩き型・密着型・レビュー型などの撮影ノウハウ
• SNS運用担当(プラットフォーム別)
→ TikTok/小紅書/YouTube/LINE公式の運用管理と投稿スケジューリング
• 翻訳・字幕制作
→ 簡体字・繁体字・日本語の正確な字幕と多言語文案設計
• 業務連携担当(広告主・学校・自治体対応)
→ ブランド窓口、商業倫理管理、契約・納品スケジューリング
⸻
🌱 人材育成ポリシー
• 創造性より「共感力と責任感」を重視
• SNS投稿ひとつでも“誰かの選択を動かす可能性がある”という意識を持てる人
• 再生数に一喜一憂せず、視聴者一人ひとりと向き合える人を評価
第14章 事例紹介:メディアコンテンツの実践と成果
清禾株式会社のインターネットメディア運営は、実際の成果と連携によって形になっています。以下に、主要カテゴリごとの制作事例とその反響を紹介します。
📽️ ライフスタイル系|《日本での一人暮らしVlog》
概要:
実際に中野区に暮らす在日華人女性の一日を追い、「家賃」「通学路」「昼食の購入」「家の収納方法」などを自然なVlog形式で紹介。
反響:
- TikTok再生回数:約120万回
- 小紅書での保存数:9,000超
- DM相談件数:135件(主に「同じ街に住みたい」「この家具はどこで買える?」など)
- 家具ブランドとの連携も成立、後日別案件化
🎓 教育・留学系|《私立高校の1日密着》
概要:
東京都内の私立高校と協力し、中国語字幕付きで授業風景・校内食堂・生徒の放課後活動を密着撮影。
反響:
- YouTube:15万再生、平均視聴維持率71%
- WeChat公式での記事配信後、3日間で公式LINE登録者数+512人
- 対象高校への問い合わせ件数が前年比+30%(先方調べ)
🧳 不動産/地域系|《練馬区 5万円台物件特集》
概要:
実際に賃貸可能なアパート物件3件を比較。駅徒歩距離、周辺環境、部屋の構造・光の入り方などを丁寧に映像化。
反響:
- 小紅書投稿の保存数 13,200件
- 視察予約につながったユーザー 41組
- 外国人に向けた物件説明動画のフォーマットとして、不動産会社2社に導入実績あり
🌸 観光・文化体験|《“浅草じゃない”東京ローカル観光特集》
概要:
谷中銀座、神楽坂、深大寺など、一般的観光地ではない“生活の中にある東京”を特集。
反響:
- TikTok投稿10本連続シリーズで合計再生300万回
- 中国語コメントでのエンゲージメント率19%(平均の3倍)
- 地元店舗からの協力要請、別案件に派生
💼 クライアント連携型|《オンライン学校説明会+SNS誘導》
概要:
中国語SNSを活用し、ある専門学校のオンライン説明会を宣伝 → 実際にメディア経由での申込を促進。
反響:
- 配信前告知動画の再生回数 48万回
- フォーム申込数:220件中112件が清禾のSNS経由
- 日本側学校担当者より「他社より熱意のある質問が多かった」とのフィードバック
第15章 総括:清禾株式会社が目指す“次のメディア”
清禾株式会社のインターネットメディア運営は、「人と場所をつなぐ」ことを目的とした、実用性と感性の交差点です。
私たちは、PV数やバズ、フォロワーの数といった“見える数字”だけではなく、
- 「誰かの人生の選択を後押しできたか」
- 「投稿が“行動”や“対話”につながったか」
- 「メディアとしての人格と信頼を築けたか」
こういった“見えにくい価値”を大切にして、ひとつひとつの発信を積み重ねてきました。
🔭 未来への展望
- 日本全国の地域と協力した「ローカル×中華圏SNS」モデルの展開
- 海外在住ユーザーと“共創”するUGC型コミュニティメディアの立ち上げ
- 教育・不動産・観光などジャンル横断型のクロスメディア戦略
「清らかな情報を、穏やかに、そして実感として届く形で」
清禾株式会社はこれからも、誰かの“次の一歩”を支える存在として、メディアを育て続けてまいります。